2017年2月13日月曜日

都市部で広がるカーシェアリング


 シェアリングとは、サービサイジングという考え方から出て来ている。従来、製品として販売していたものを、その製品が持つ機能を提供することで代金を得るというビジネスモデルだ。利用者の立場からでいえば、製品自体の個人所有が目的ではなくて、製品の持つ機能を利用することが目的である。例えば自動車の持つ機能はモビリティ(移動性)。その機能を得るのに自動車を購入・個人所有せずに、その機能だけを利用する形態を取る。それがカーシェアリングである。 

●都市部中心に急成長中
 カーシェアリング事業で成長著しいのは駐車場運営企業のP社。本業の駐車場以外のカーシェアリング事業「タイムズカープラス」のブランドで主に東京中心に事業展開するが、2017年10月期の営業収益は25億円前後。前期の2倍以上の伸び率だ。14年10月に黒字転換して以来「順調に拡大推移」だという。事業拠点は10月現在、8600拠点。今期中に1万を超える勢いだ。同業2位のオリックスシェア1400、レンタカー最大手のトヨタレンタカー1200を大きく上回っている。
 
●環境負荷の低減が起源だが、現在は利用者の利便性とマッチ 
 カーシェアリングは、利用者にとって駐車場の確保や車検、各種の保険金・税金などの節減が最大の利点だ。しかも車体に会員カードをかざすだけで車を利用できて、レンタカーより短い15分単位で借りられ、給油せずに返却できる手軽さが特長だ。個人の場合はちょっとした買い物、送り迎えなど使いやすい。最近では不意の納品に使う営業用、公用車として使う事業所の利用も増加中だ。P社「タイムズカープラス」では、会員から月額1030円の基本料金と、15分利用ごとに206円を受け取る仕組み。現在の会員数は前年度比31%増の72万人を超えるという。
 このカーシェアリングの社会的な背景には自動車保有台数の削減、鉄道利用によるエネルギー資源の低減、都市部の渋滞緩和、駐車場数の抑制、不法廃車などの環境負荷の低減があった。欧州が起源だが、都市部で、今世界的な広がりを見せている。

●各分野に拡大する「シェアエコノミー」ビジネス
 カーシェアリングに限らず、モノ所有から機能利用を個人、会員で共有する「シェアエコノミー」はをビジネスとして事業化する企業は
各分野で増加している。電気製品や家具はもちろん、環境装置・機器などの他、最近では空きマンション利用の観光客向けの「民宿」と多様化している。