2016年3月16日水曜日

太陽光の他太陽熱利用を。。。

太陽光だけでなく太陽熱の利用も考慮したい

●太陽の熱利用の温水器
再生可能なエネルギー(自然エネルギー)の代表格は太陽光を利用した太陽光発電。
そこから得られた電力を全量買い取ってくれる制度が追い風となって、近年太陽発電
は急速に普及・拡大している。これからも太陽光発電は再生可能なエネルギーのトップ
ランナーとして走り続けるだろう。
この太陽光を電気変換する方法に対して、太陽の熱を利用したエネルギー利用が再び
注目を浴びている。太陽熱を集熱器等で集め、温水や暖房の熱源として利用しようと
するものだ。例えば給湯に使った場合、エネルギー変換効率(集熱効率)は40%以上
で、10%台の変換効率の太陽光と比べて断然高いパワーを持っている。

●利用施設が増大の可能性十分
太陽熱温水器で給湯すれば、夏場なら60℃以上の温水が得られるスグレものだ。標準
的な太陽熱温水器(集熱器面積6㎡、蓄熱漕300㍑)なら一般家庭が一年間に給湯で消費
するエネルギーを約95%(灯油換算で約455㍑)も削減可能なのだ。
考えてみれば電気や灯油等を使って水を温水に変えて使う事業所は少なくない。ゴルフ
場、スポーツ施設、老人介護施設等は、温水を風呂・シャワーや給湯等に使い、他の照
明やエアコン等のエネルギー消費よりも圧倒的に多いのだ。つまり太陽熱温水器の方が
はるかに省エネであり、エネルギーコストが低減につながるというわけだ。

●夏場の冷房にも使える
太陽熱を集める集熱器には、水に蓄熱する水式、空気に蓄える空気式に大別できるが、
水式は既存施設にへの後付けが可能であり、一方建物一体型の空気式は暖めた空気を
直接暖房に利用できるメリットがある。加えて熱利用と集熱の時間帯のズレで生じる熱
需要バランスを平準化させるための蓄熱漕や貯湯漕、熱交換器、ボイラー等の組み合わ
せで給湯や暖房を行い、さらに余熱を化学的に変換して夏場の冷房も可能となる。

●脱原発の有望産業として注目
太陽熱利用は1979年の第二次オイルショックによる原油価格の高騰の影響を受け、当時
は需要が増加したものの、その後の原油価格の鎮静化等によって1980年頃をピークに減
少の一途をたどる。しかし5年前の福島原発事故に因る脱原発、地球温暖化対策の有効
手段、再度、有望産業として注目したいけれど、どや。

2016年3月10日木曜日

バイオマス発電について

<木質バイオマス発電について>

 
過日、東京ビックサイトでの「第1回国際バイオマス発電展」をのぞいてみた。再生可能な

エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)と電力自由化が誘い水となり、国内各地で木質バイ

オマス利用による発電事業が始まっている中での開催だけに会場は数多くの発電関連設備

が展示され、来場者数も殊のほか多かった。

●木質バイオマス発電の難しさ
日本での木質バイオマス発電は採算の取れる事業としての成功事例はこれまで限りなくゼ

ロに近い。今回の展示を観て、日本のバイオマス発電事業は、
結論から言えば、過去も現在も実際のところ補助金ありき事業であって、商業ベースにの

った採算の取れた電源としては自立するのはまだ遠い先のことのように思えた。
木質バイオマス発電の場合、日本のFITの買い取り価格は未利用木材で1Kw時当り32円。こ

れは蒸気タービンによる5Mw設備で1トン当たり1万2000円のチップを燃料にしたケースだと

聞く。しかしこれより小規模の発電設備では昨年42円の買い取り価格を設定したとはいえ

、事業運用は難しいのでは。
したがって設備の電気出力がも大きい設備にならざるを得ない。大規模な設備ほど発電コ

ストが抑えられ、その分採算性だ高くなる。
この日の会場でも大手メーカーの大規模の発電設備が多く展示され、導入が提案され計画

されている。
しかし現実はシビアだ。

●発電よりも熱利用の優先を
それだけの大規模の設備を導入するとなれば回収不可能なコスト高、しかも設備稼働、事

業運用するには、現在の木質バイオマス資源の収集、効率的なエネルギー利用等の諸事情

を考えると、補助金利用しても持続可能な発電事業は困難で無理な話である。
では、どすれば良いのか? 答えはひとつ。まず現状を踏まえての適正な木質バイオマス

利用は発電優先の形態でなく、熱利用優先の方が事業採算性も高く手堅いと思われる。
英国あたりではFITから木質バイオマスを外し、代わりに熱の固定価格の買い取りを始めて

いる。

●地域によって上手なカスケード的利用システムの構築
日本では当面、地域で容易に手に入る木質バイオマスをまず熱源として利用し、次のステ

ップとして電気供給を考える。地域によっては身の丈に合ったコジェネ(熱電併給システム

)の導入を図るのが賢明である。
いずれにせよ、木質バイオマス利用の成功は質、量の安定確保の入口、そこから得られた

熱(電気)の受け皿の出口の確保が肝心だ。
入口と出口が確保されて、始めて適正な設備導入の計画を立てるのがオーソドックスであ

る。
熱(電気)の生産事業のための設備なので慎重を期したい。
ちなみにフランス・パリのCOP21で採択された温室効果ガス(CO2)削減、カーボンニュート

ラルの視点からも木質バイオマス資源の利活用はさらに高まることは間違いない。
聞くところよると、化石燃料を基準にすると木質バイオマス発電はCO2削減は0.5トン。一

方熱生産であれば約1トンの削減になるという。このことからも発電よりも熱利用優先の政

策、制度が立案されるのではないか?