2017年4月2日日曜日

日本の食品廃棄物処理事情



 都合8日にわたり中国での環境ビジネス市場開拓について各地方省、企業訪問を実施した訪中で一番感じたことは円卓を囲む会食での食べ残し(食品ロス)が相当量減ってきていることだ。聞けば、食品ロスを減らすために食べたいもの適正な量を注文する食習慣が広がりつつあるからだという。それはさておき、我が国の食品廃棄物量の排出量は変わらず世界でトップクラスである。現在、その膨大な食品廃棄物が国内で如何に処理されているのだろうか?

●肥料化から飼料化へ
食料自給率40%も満たない日本で驚くことに年間2000万~2500万トンの食品廃棄物が排出されているという。これは世界の8000万人をまかなえる1年分の食糧である。ちなみに飢餓が原因で年間2000万人近くが亡くなっている。うち約70%の子どもの餓死である。
日本で排出される食品廃棄物の約半分の1000万トン以上は食品産業からのものである。
この犯罪的な膨大な食品廃棄物について、今も昔も不変なのが廃棄物を出さないという取組みよりも出たものを如何に減らすかというのがこの国の基本姿勢である。エンド・オブ・パイプ。対処療法というやつだ。
その対処療法について追ってみた。食品廃棄物の再資源化と言えば、肥料化されるケースが多かったが、肥料としての品質の確保や事業としての採算性が悪い等で、最近では肥料化よりも家畜飼料化が増えている。日本は飼料の約90%以上を輸入に依存しているため、飼料の主原料である穀物価格の高騰が飼料価格にはね返ると同時に、飼料の安定供給を考えると飼料化のほうが得策だ。政府・農水省も「エコフィード(食品残渣の飼料化)」を推奨している。
再資源技術面でも、これまで飼料化は原料となる食品廃棄物が劣化しやすい事や安定供給が困難なこと、また栄養バランス面で肉質への影響等が難点だったが、現在はほぼ改善されている。「乾燥方式」の他「リキッドフィーディング(液体肥料)」「サイレージ調整(原料を密封し、乳酸発酵させて雑菌の繁殖防止)」が開発されてから、中でも養豚用飼料の需要が急増している。


●ループリサイクルによる飼料化の促進
食品廃棄物の排出事業者自らが再資源化された飼料で育てられた豚肉を販売しリサイクルの促進を図るループリサイクルの確立へ向けた取組みが各地で増えている。比較的規模の大きい事例としては神奈川・相模原市の日本フードエコロジーセンター」の取り組みが挙げられる。小田急線沿線の食品工場、デパート・スーパー、給食センター等で出された食品廃棄物を飼料化し、その飼料で飼育された養豚肉をスーパー、デパート、ホテル等多岐にわたる業種で販売している。この試みは千葉、北関東・多摩地区でも大手スーパーで実施され、成功している。また茨城県下では「肥料化」のループリサイクルによる米、野菜を販売するという二刀流を展開中だ。いずれもリピーターを多く獲得し事業としても好調と聞く。

●もったいないを忘れた日本の食生活
家庭から出る食品廃棄物は1000万トン近いと言われ、食糧費用換算で11兆円。これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額。さらにその処理費用(焼却)で2兆円が使われる。家庭の冷蔵庫の中で電気を使い廃棄物にして捨てられる賞味期限切れの食糧も200万トンという現実もある。大量消費の大量廃棄の歯止めがきかない。

2017年2月19日日曜日

原発なんか地熱パワーの足元にも及ばない



 ●太陽光や風力等再生可能なエネルギーの他に、地産地消エネルギーとして、近年にわかに注目を集めているのが地熱エネルギーだ。
 火山国・日本では地熱の利用可能な発電能力は、現在の風力の2倍、太陽光の3倍とされるビックなエネルギー資源である。
 しかも発電で排出されるCO2は火力発電の約20分の1、水力発電と変わらない低水準で,地球温暖化対策に寄与するクリーンエネルギーで  ある。
  日本の地熱発電に必要な熱水資源は3300万リットルで世界3位で、原発10基分の発電能力がある。

 ●地熱発電とは、地中深くから取り出した蒸気で直接タービンを回し発電するもの。 火力発電所では石炭、石油、LNGなどの燃焼による熱で蒸気を発生させるのに対し、地熱発電では地球がボイラーの役目を果たしているといえる。
 地熱発電はこれまで掘削等の調査や開発・運用に至る期間が長く、結局ランニングコストが高くなるという難点があり、おのずと開発業者は限定的だった。そこで国は90年代から初期投資の支援、地熱スポットの多い国立公園での事業化に対して規制緩和措置促してきた。経産省によるとこれらの支援制度の拡充によって、地熱発電量は20年に120万Kw、30年には190万Kw程度まで開発可能だという目標を立てている。
 世界地熱発電の総出力50年に2億Kwに膨らむと予測がある。
  海外市場の中心は東南アジアやアフリカだ。
 2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」を受け、地熱発電の商機はますます拡大の一途なのだ。
 ちなみに現在、日本の地熱発電利用量は世界9位。世界の地熱発電タービンの70%は高技術の日本製なのだ。
だのに怪しくて危ない原発を世界へ懸命に売り込む日本政府は世界で失笑を買っている(*_*)

2017年2月13日月曜日

都市部で広がるカーシェアリング


 シェアリングとは、サービサイジングという考え方から出て来ている。従来、製品として販売していたものを、その製品が持つ機能を提供することで代金を得るというビジネスモデルだ。利用者の立場からでいえば、製品自体の個人所有が目的ではなくて、製品の持つ機能を利用することが目的である。例えば自動車の持つ機能はモビリティ(移動性)。その機能を得るのに自動車を購入・個人所有せずに、その機能だけを利用する形態を取る。それがカーシェアリングである。 

●都市部中心に急成長中
 カーシェアリング事業で成長著しいのは駐車場運営企業のP社。本業の駐車場以外のカーシェアリング事業「タイムズカープラス」のブランドで主に東京中心に事業展開するが、2017年10月期の営業収益は25億円前後。前期の2倍以上の伸び率だ。14年10月に黒字転換して以来「順調に拡大推移」だという。事業拠点は10月現在、8600拠点。今期中に1万を超える勢いだ。同業2位のオリックスシェア1400、レンタカー最大手のトヨタレンタカー1200を大きく上回っている。
 
●環境負荷の低減が起源だが、現在は利用者の利便性とマッチ 
 カーシェアリングは、利用者にとって駐車場の確保や車検、各種の保険金・税金などの節減が最大の利点だ。しかも車体に会員カードをかざすだけで車を利用できて、レンタカーより短い15分単位で借りられ、給油せずに返却できる手軽さが特長だ。個人の場合はちょっとした買い物、送り迎えなど使いやすい。最近では不意の納品に使う営業用、公用車として使う事業所の利用も増加中だ。P社「タイムズカープラス」では、会員から月額1030円の基本料金と、15分利用ごとに206円を受け取る仕組み。現在の会員数は前年度比31%増の72万人を超えるという。
 このカーシェアリングの社会的な背景には自動車保有台数の削減、鉄道利用によるエネルギー資源の低減、都市部の渋滞緩和、駐車場数の抑制、不法廃車などの環境負荷の低減があった。欧州が起源だが、都市部で、今世界的な広がりを見せている。

●各分野に拡大する「シェアエコノミー」ビジネス
 カーシェアリングに限らず、モノ所有から機能利用を個人、会員で共有する「シェアエコノミー」はをビジネスとして事業化する企業は
各分野で増加している。電気製品や家具はもちろん、環境装置・機器などの他、最近では空きマンション利用の観光客向けの「民宿」と多様化している。

2017年1月17日火曜日

廃棄物の活用は資源ビジネスだ

日々の事業活動、及びわたしたちの暮らしの中から大量に排出される廃棄物。。
        その廃棄物を活かすリサイクル&リユースは資源ビジネスなのだ

 使用済み製品を含む廃棄物はリッパな資源という発想こそが新たなビジネス創出のカギである。やっかいな不要品扱いされる廃棄物を資源として如何に再生させるか。そこにナは多様なビジネス・チャンスがたくさん埋もれている。それはまた資源の多くを海外に依存する資源小国・日本にとって重要テーマである。廃棄物の再資源化にはリサイクル、リユースの二通りが考えらるが、このふたつのビジネスの現状と課題をアプローチしてみた。


●リサイクルビジネスは紛れもない製造業なのだ
 リサイクルとは、生産工程で排出されたり、また一度使った使用済み製品等の廃棄物を再資源化して「再利用」することを指していう。一方、再生すればまだ使える使用済み製品(中古品)を修理、修繕等を加えて「再使用」するのがリユースである。街で見かけるリサイクルショップというのは正確にはリユースドショップだと言える。どちらも廃棄物を有効な資源として活かす再生ビジネスだ。
 まずリサイクル事業とは、回収した廃棄物の分別・分解(選別)・再資源化等の工程を経るから、自ずと機器・プラント等の設備が判うために大規模に。ここでのポイントは「リサイクル事業とは廃棄物を資源に換える製造業である」という認識が必要だ。
 製造業は、つまり原料の量によって適正規模の生産ラインが決まる、そして生産された製品が市場へ商品として出て行って始めてビジネスとして成立する。入口・生産ライン・出口のちゃんとした仕切りがなければ商売にならない。
 リサイクルビジネスも同じこと。分別等の前処理コスト(廃ペットボトルならキャップ取って、ラベルが剥がす等)が低く抑えらる廃棄物を量として確保が出来てこそ、生産ラインの規模が決まる。生産効率に配慮しながら廃棄物を製品化。そのリサイクル製品が商品として市場(出口)に流通し取引されることが肝心なのだ。この仕組みのいずれかが不十分な場合は参入しないほうが得策だと思われる。
 しかし逆に、この仕組みが万全であれば入口で処理費をもらい、出口でをリサイクル製品を商品として売る。つまり廃棄物で入口と出口から収益が得られるというおいしいビジネスなのだ。


●リサイクルする前にリユースで資源再生
 中古品等使用済み製品のリユースについて言えば、リサイクルするための大掛かりな機器・装置も不要だし、またエネルギー消費も少ない。さらに再資源化工程での環境負荷等を考えれば、使用済み製品の延命化を図るリユースの方に軍配が上がる。リサイクルよりもリユースの方が賢明だ。
 リユースと言えば、ビール瓶、古着、古道具、中古車等が代表格だ。最近では新古書、新たなファションアイテムとして古着等リユースの形態も裾を広げてきている。また自治体が粗大ごみととして回収した自転車、家具等を修理・修繕を加えて市民に安価で提供したり、フリーマーケットやウエーブ上でも中古品の売り買いは盛況だ。ちなみにウエーブでの中古品の流通市場は1兆円を遥かに超えたと聞くし、このリユースはさらに新たなビジネスを創出している。再使用するににあたって機能的に不具合の生じている部分の修理・修繕等の需要に対しての専門会社を誕生している。リユースビジネスに大手企業も次々と参入中だ。
 近年、このリユース事業は、改修・補修の必要に迫られている集合住宅、戸建住宅約700万棟を抱える建設・住宅業界において、これまでの新築市場から改修・補修市場へと業態変化をもたらしている。欧米では早くからその傾向が強い。

 リサイクル、及びリースは新たなビジネス形態の創出に加え、資源小国・日本では使用済み製品を含む廃棄物を資源に換える需要な資源ビジネスとしても注目されいるのでは。

2016年10月4日火曜日

環境ビジネス市場、100兆円へ拡大

環境ビジネス市場、初の100兆円の大台へ タイトル

環境省は2014年の国内の環境関連産業の市場規模が約105兆4133億円(前年比1.3%増)へ拡大。統計をとり始めた00年以降初めて100兆円規模になったとする推計をまとめた。雇用者数も約256万人と過去最多になった。~リード

●年々厚みを増す環境ビジネス市場
100兆円突破について環境省は電力の固定価格買い取り制度によって、再生可能エネルギー産業が急成長したことが貢献したと分析している。市場規模は00年の58兆と比べると約2倍に拡大している。さらに地球温暖化対策の新枠組みが締結された「パリ協定」が採択されたことを受け、今後も市場拡大が続くと環境省は読んでいる。
分野別ではペットボトルなどの廃棄物処理・資源有効利用が45兆円と最も市場規模が大きかったが13年よりもやや減少した。次いで、太陽光・風力発電などの再生可能エネやLED(発光ダイオード)などの省エネの関連製品を含む地球温暖化対策が約37兆円と推計している。
今回公表された数値は,しかし真に受けない方が賢命だ。補助金に支えられたり、売上至上主義で都合の良い売り上げを計上した企業も少ないと見るからだ。したがって市場規模の動きを知る目安、参考程度として留めたい。もっとも数字の内容はともあれ、率直な感想を言えば環境ビジネス市場は年追う毎に確実に拡大している。
●環境ビジネス本流は資源確保
我が国の環境ビジネスは第一次産業から第三次産業まで全産業に裾野を広げ、技術・事業のアイテム数は900余り、市場参入事業所は地域の産廃事業者を入れて数えると1万を超えた。
環境問題への取り組みに経済的インセンティブを与え、その取り組みを長期にわたり持続させるのが目的の環境ビジネスだが、1988年設立以来わたしらエコビジネスネットワークにとって常に底辺に流れるテーマは、環境というフィールドで括られる資源確保である。
「資源小国」日本にとっては資源の安全保障は今も昔も避けて通れない重要な課題で、日本の環境ビジネス市場においても同じこと。資源確保関連ビジネスが市場の主役であり続けることはまず間違いないと思われる。

●エネルギーの安全保障
エネルギー資源については海外に95%以上を依存する日本は国内調達可能な純国産エネルギーの資源開発が急務である。自給可能なエネルギーとして考えられるのが、太陽光・熱、風力、バイオマス、大・小水力、地熱などの再生可能エネルギーである。しかも、これら純国産自然エネルギーは、再生可能であり環境負荷が著しく少ないクリーンな資源であることだ。ちなみに海外に依存する化石燃料などのエネルギー資源は枯渇性が高く、採取・利用の過程で健康被害、環境負荷も高いのだ。
日本にとって再生可能エネルギーの利用促進、更なる産業構築こそが資源の安全保障の観点からも、脱原発や地球温暖化の要因のひとつであるCO2の排出削減に繋がるのだ。現政府の知見なき曖昧なエネルギー政策をよそに、企業の多くはこの方向へ確実にスマートに歩を踏みだしている。

●資源確保へ向けて広がる多様な事業
その他、資源確保に不可欠な事業として、省エネ・節電、エネルギーの高効率利用に係わる技術・事業、使用済み製品及び廃棄物のリーユース、リサイクルなど再資源化、建築・建造物の改装・改修、環境配慮型のエコマテリアル(環境素材)開発、植生を豊かに育む土壌改良など枚挙に暇がない。

2016年9月16日金曜日

欧米の建設市場は新築から改修・リフォーム市場へ

欧米の建設市場は新築から改装・改修、及びリフォーム市場へ

 国内には改装・改修が必要な老朽化した集合住宅が約250万棟(一般戸建住宅を入れると500万棟以上)は越えると言われる。これらに手を加え長寿命化を図って行くか、壊して建て直すか。国立競技場や築地市場(ここは土壌汚染問題含む)のように建て替え新築となると廃棄物処理、新しい資源投入など環境面で大きな問題を抱える。建設廃棄物は全産業廃棄物排出量の約20%を占め、最終処分場の埋め立て量は約40%に及ぶ。現在、この膨大な建設ストックをどうするかと言う真剣な議論が始まっている。同時にこの分野に「大きな事業チャンスあり」として浮上してきたのが改装・改修事業だ。新築における廃棄物の削減・有効利用、新たな資源投入などの環境負荷等を考えると、集合住宅等の建築物の長寿命化(ストックメンテナンス)の方がはるかにスマートだと言うことだ。既存の建築物の耐震を含む改装・改修の他、コンバージョン(用途転用)の事業がクローズアップされている。それに伴う各部屋のリフォームも商機が急増している。


●改装・改修工事とは
一般的に呼ぶ改装・改修工事とは、建築基準法では「大規模の修繕工事」「大規模の模様替え」という。まず「大規模の修繕工事」だが、建築物の主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根または階段)の1つ以上について、ほぼ同じ材料を用いて、同じ形状・同じ寸法でつくり替え、性能や品質を回復させる工事のこと。一方、建築物の主要構造部のひとつ以上について、異なる仕様でつくり替え、性能や品質を回復させる工事を「大規模の模様替え」と言う。
改装・改修が必要な老朽化した建築物が抱える健康、環境への影響はことのほか大きい。建材、塗料に含まれるホルムアルデヒド(シックハウス症候群の原因物質のひとつ)やアスベスト(肺がん、悪性中皮腫等を引き起こす物質)等による著しい健康被害、都市部でのコンクリート建築・建造物の増大によるヒートアイランド、建築物を利用する際のエネルギーの浪費等さまざまな問題が顕在している。
改装・改修は建築物の構造維持、機能更新はもちろん、こうした健康、環境の負荷を改善しつつ、さらにそこに住むひとの快適な暮らしを提供することで、建築物にさまざまな機能を付加して資産価値を高める役割も果たす。
今後、高度経済成長期、及びそれ以降に建てられた老朽化した集合住宅の他、大型施設(公共施設、ホテル、旅館等)の改装・改修需要が年追う毎に伸びている。大手ゼネコンを始め、新分野進出の事業開発に熱心な地域の地場コンはこの分野での受注に動き出している。

●改装・改修事業に伴い各室のリフォームも急増中。
改装・改修事業の増大と同様に各室のリフォーム需要も拡大している。
新築時と同じ付帯工事が伴い、地域のリフォーム専門業者、ハウスメーカー、工務店、設備業者、便利屋等が本格参入してきている。また地域の日曜大工の材料提供ショップも忙しくなり始めたという話も。
さらに建物管理会社も改装・改修事業に乗り出している。建築・建造物の規模、あるいは行政の都市再生プロジェクトで再開発の対象となるような大型高層ビルから集合住宅、一般戸建住宅まで幅広い。
ちなみに欧米の先進国の建設市場は新築より改装・改修、そして各室のリフォーム市場が主流だ。国立競技場、日本青年館等アジアで最初のオリンピックであり、高度経済成長期を経て先進国の仲間入りしたシンボリックで文化的遺産として残すべきだった建築・建造物をいとも簡単に破壊して建て直すと言うスクラップ&ビルドの発想を問い直す時期にきているのだ。

2016年8月4日木曜日

植物工場のビジネスは限定的。

植物工場はビジネスとして極めて限定的


~過日、東京・国際展示場で開催していた「アグリビジネスJAPAN」をのぞいてみた。
国内外の約160余りの事業所が出展。農業従事者の出展が意外と少なくて、
目立って多かったのが家電、素材、機械メーカーの植物工場、施設園芸の出展だった。
そこで生産される植物のほとんどがレタス等の葉野菜、トマト、イチゴ類。
栽培技術は日進月歩の跡は見られるも、一番の課題はやはり生産者サイドの事業採算性。
ビジネスとして成立するのは極めて限定的だ。


●植物工場の現状
当日、会場内のあちらこちらに何層にも積まれたプランナーの中でレタス等の葉物類
ばかりが目に付いた。こうした自然・生態系から外れたところで食材を生産する植物
工場のビジネスは果たして可能なのか? 
そもそも植物工場とは何か?
植物工場のタイプは、大きく分けて太陽光型(LED併用を含む)と、太陽光なしで
LED光源利用の完全人工光型の2種類がある。
太陽光型は、温室型の半閉鎖環境で太陽光を基本的に利用。雨天・曇天時の補光、
夏季の高温抑制等により一年を通して計画生産が可能で、レタス類、ホウレンソウ
等の葉物類に加えて、トマト、イチゴ等を中心とした果菜類も栽培に適しているの
が特徴。また平面(1面)で栽培するため、栽培面積確保が容易であり、適正な収穫量
の調整も可能だ。
一方、太陽光を利用しない完全人工光型は、閉鎖環境内で計画生産を行う生産方式。
レタス、ホウレンソウ等を中心とした葉物類(果菜類は極めて限定的)の生産が多い。
多段栽培による栽培面積確保が可能となり、収穫量が多く見込まれて、大消費地に近
い(流通コストが安い)都市部周辺での設置適性が高いのが特徴。

●普及しない植物工場
この植物工場のキッカケは、2009年の農地法改正、及び経産省、農水省による植物工場
普及・拡大総合対策事業という補助金150億円付きの政策。スタート時は植物工場は約
50か所(ほとんどが全滅)。その後2011年東日本大震災による農地の津波による塩害、放
射能汚染を抱える被災地農家の復興の手立てとして植物工場への関心が再燃した。2013年
には177戸(大半は完全人工光型)となり、特に製造業などの異業種からの新規参入が増えた。
その背景には「技術栽培、設備)の進歩」「生産管理手法の確立」「コスト(栽培施設、設備等
のイニシャルコスト、光熱費、人件費、物流コストなどのランニングコスト)削減」により、農業
関連以外の事業者が参入する土壌が整ってきたからだと言う。
しかし植物工場の事業としての成功事例は10%未満だと言われている。

●ビジネスとしての現在は困難なのでは
時を経て今回の「アグリビジネスJAPAN」見学となった。
植物工場のほとんどが完全人工光型。展示事業者は家電、素材、機械メーカー等製造業が
多かった。聞けば「名刺交換ばかりで、商談成立までには程遠い」の声が圧倒的に多い。
現時点では設備の更なる改善は然ることながら、栽培ノウハウも未完成。それより何より栽
培された野菜の多くは出口(市場)が見えてこない。さらに野菜の生産コストが露地ものよりも
はるかに高い。植物工場産レタスの価格は1kg1000~1500円。露地もの3倍だ。
照明、エアコン代、水耕調整の手間ひま等が掛かり、併せて品質のばらつき、生産効率の
悪さを考えるとビジネスとして前途多難。産業に成り得ないと農業の難しさを知る農業従事者
は遠くから見て近寄って来ないといったところだ。
ただ成功の可能性として注目したいのは高付加価値の薬草・ハーブ、高級スーイツ用
のフルーツ類の栽培だった。